思春期にやっかいな価値観の対立をどう解くか
親子には、とてもやっかいな価値観の対立があります。ある受講者の方は、中学生のお嬢さんの制服のスカートが短いのが気になり、かなりきつく注意をしたそうです。すると、これまで表わしたことがないくらいの怒りを、お母さんにぶつけてきたといいます。
よくよく聞いてみれば、学校の友だち関係のなかで、スカートの長さが非常に重要な意味をもっていて、このお嬢さんにとっては、それがとても大きな価値をもつものだったのです。
価値観は、好きなことや信条、人生観など、心の中でとても大切にしていることです。その大切にしていることを非難され、「変えろ」と言われても、そう簡単に素直に従えるものではありません。
講座では、相手の価値観を否定するような言葉をかけて、どんな気持になるのか体験してみるということをやります。実際やってみると、ロールプレイとわかっていても、すごく嫌な気分です。大事にしているネックレスをけなされたり、好きで着ている服の色なのに、違う色の方がいいと言われたり…。
「あなたに別に迷惑かけているわけじゃないんだから、余計なお世話」と思います。まあ、1回言われるくらいなら、どうということはないかもしれませんが、会うたびごとにしつこく言われたらどうでしょうか。もうその人の顔を見るのも嫌になるかもしれません。
それでみなさん気づくのは、「ああ、でも子どもにはけっこう平気で言っちゃってる!」ということなんですね。
一方的に押し付けるのは要注意
髪形、服装、ゲーム、まんが、勉強、進路…。小さいことから大きいことまで、親子とはいえ違う人間ですから、価値観の対立はおきて当然ともいえます。もちろん、日常生活の中で、親の価値観は子どもに大きな影響を与えているわけですが、それでも、いろいろな人に出会ったり、さまざまなものに触れるなかで、親とは違う価値観を子どもは獲得していきます。
でも、親としては、自分が大事にしている価値観を子どもに伝えたいし、受け継いでほしいと思います。子どもをちゃんとした社会人に育てたいという親の愛情から、言いたくなることもあります。
しかし、ここで注意しなければならないのは、価値観の対立がおきたときに、力によって親の価値観を一方的に押し付けると、子どもから大きな反発をかう危険性があるということです。特に、親から自立しようとしている思春期には要注意です。親子関係に大きな亀裂が入ってしまうこともあるからです。
自らの行動で模範を示す
では、どうしたらいいのでしょうか。ゴードン博士はいくつかの方法を提示しています。一つは、模範を示すこと。日常生活の行動を通して、価値観を伝えていくことです。
ここで気をつけなければならないのは、言っていることと行動が違っていると、逆効果になるという点。
例えば、子どもには「人の悪口を言ってはいけない」と言いつつ、電話口で「あの人ね〜〇〇なのよ」と非難していたら、子どもは何を感じるでしょうか。言うからには自らの行動もということですね。
コンサルタントになる
2つ目は、コンサルタントになること。雇いたくなるようなコンサルタントはどういう人でしょうか。
客観的なデータを示して、専門家としてアドバイスしてくれるけれども押し付けない…。つまり、ただダメというのではなく、納得できる根拠、例えば新聞記事やデータなどを見せて、「だからダメなんだ」と伝え、どうするかは任せるということ。
これは労力を必要としますが、なぜダメなのか、親としても考えるいいきっかけになります。毎日ガミガミ言うよりも、ここぞという時に気合を入れて1度だけのつもりで伝える。真剣に向き合うというのは、こういうことなのかもしれません。
自分を変えることも方法の一つ
そして3つ目は、自分を変えるということ。模範を示すことやコンサルタントになることは、子どもの価値観に影響を与えようというアプローチですが、親の価値観や態度を変えることも解決の一つの方法です。
子どもと話し合うことによって、親が価値観を変化させることも不可能ではありません。また、価値観を変えないまでも、子どもの価値観を受け入れる態度をとることはできます。
聞くことを忘れずに
いずれにしても、子どもと対話するときは、「能動的な聞き方」と「わたしメッセージ」を使います。子どもが反発や抵抗を示すと、「あなたのためを思って言っているのに、なぜわからないんだ」と、ますますこちらの価値観を伝えたくなりますが、そうすると子どもはますます反発
するかもしれません。
どんなに受け入れがたいことであっても、まずは一歩ひいて子どもの言い分を聞いてみる。話すモードから聞くモードへのギアチェンジ。これをぜひ忘れないでくださいね。
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